社内勉強会:2019年度7月開催レポート
ソリューション・ラボ・ジャパンで年2回行っている、社内勉強会です。
今回は、参加人数が増えたこともあり、外部の貸会議室へと場所を移して開催。また、お客様常駐作業で帰社できないメンバーに向けて、Web会議での参加形式を取り入れました。部署内や個人で利用しているツールの活用事例、進めている研究の内容などを発表することでノウハウを共有し、全社的な技術向上に努めました。
当日のプログラム
- イベントページを手抜きで作った話(ソリューション事業部 T.Y 入社10年目 40代 男性エンジニア)
- Spring Framework(ソリューション事業部 S.H 入社3年目 40代 男性エンジニア)
- 2段階認証の実装検証(ソリューション事業部 K.A 入社7年目 20代 男性エンジニア)
- EVOLIO&aXes(ソリューション事業部 H.K 入社2年目 40代 男性エンジニア)
- 事業推進グループ 担当の業務とは(事業推進グループ M.T 入社21年目 60代 男性マネジメント)
- 画像認識AIについて(ソリューション事業部 N.R 入社3年目 20代 女性エンジニア)
- RPAで管理部作業を効率化!?(ソリューション事業部 M.S 入社10年目 30代 男性エンジニア)
- 製造業におけるこれからのビッグデータ・IoT活用(ソリューション事業部 A.N 入社1年目 60代 男性コンサルタント)
- 総評(事業部長 森原 達夫)
- ※各発表に質疑応答時間を含む
発表内容
イベントページを手抜きで作った話
ソリューション事業部 T.Y 入社10年目 40代 男性エンジニア
T.Yは、社内ポータル向けに今回の技術発表会の紹介ページを作成。そのページをいかに時間や手間をかけずに作ったのか、発表しました。
もともと、技術発表会の会場やアジェンダなどをプロジェクト管理ツール「Backlog」上に、Markdownで書いていたことから、このテーマに取り組むことにしたというT.Y。静的ページの生成に使用した「VuePress」の特長や、実際にページを作った際の手順などを紹介しました。
また、作成したページには「Backlog」のAPIとPHPを用いて、技術発表会での良かった発表に投票できる機能を実装。この「Backlog」のAPIを用いれば、業務を効率化できる可能性があることを紹介し、発表を終えました。
Spring Framework
ソリューション事業部 S.H 入社3年目 40代 男性エンジニア
次にS.Hが、Javaのフレームワークである「Spring Framework」について発表しました。
冒頭で、Javaは有償化により廃れるのでは、という予想をS.Hは否定。Oracleの一部が有償になっただけで、無償版はまだ存在しています。しかし、有償版フレームワークは便利ではあるものの、高価格で小規模プロジェクトでの導入は厳しい。そこで必要になるのが、無償版フレームワークです。数ある候補の中から、S.Hは「Spring Framework」を推薦しました。
なぜ「Spring Framework」が良いのか。数ある特長の中から、変更があっても修正量が少なくて済むこと、各処理を再利用しやすいことをピックアップして説明。他にも、シェアがNo.1になりつつあること、有名企業での採用実績があることを紹介し、発表を締めくくりました。
2段階認証の実装検証
ソリューション事業部 K.A 入社7年目 20代 男性エンジニア
K.Aは、より強固なセキュリティーを実現する、2段階認証について発表しました。
某モバイル決済サービスの不正利用事件により、話題となっている2段階認証。「知識・所有物・生体」のうち、2つを使って安全性を高めるこの手法は、日常生活でも浸透が進んでいます。しかし、使ったことはあるものの、作ったことはないことから、作ってみることにしたとK.Aは述懐します。
今回構築したのは、スマホとサーバーで秘密鍵を共有し、その秘密鍵とタイムスタンプを使って認証アプリ「Google Authenticator」にワンタイムパスワードを生成・表示させ、それを入力することで認証される仕組みです。実際に認証の様子を披露しつつ、インフラやアプリの構築に比べて、非機能要件の実装が大変だったと振り返り、発表を締めくくりました。
EVOLIO&aXes
ソリューション事業部 H.K 入社2年目 40代 男性エンジニア
H.Kからは「EVOLIO」と「aXes」について発表がありました。
まず、AS/400の画面をWebブラウザ・ベースの画面に自動変換できる「aXes」について言及。便利なツールではあるものの、OS400のコマンド「STRPCCMD」の機能が使用できないことがネックになっていました。ところが、最新バージョンで似たことができるようになったと聞き、検証することにしました。
結論は「そのままでは動かない」。今回は、batファイルにDOSコマンドを含めることで、「STRPCCMD」と似た機能を得ることができました。
次に紹介したのは、サーバー側のDBと連携するExcelアプリケーションを簡単に作成するためのツール「EVOLIO」。一覧形式だけではなく単票形式でも表示でき、帳票ツールとしても使えると主張しました。他にもIBMi上のプログラムやExcel VBAとの連携など、実現できることを紹介し、発表を終えました。
事業推進グループ 担当の業務とは
事業推進グループ M.T 入社21年目 60代 男性マネジメント
以降の2人は、ライトニングトーク形式で報告・発表を行いました。まずM.Tが話したのは、今期から当社内に発足した事業推進グループの、主な業務内容についてです。
- 進行中のプロジェクトのサポート
- 定期的に行うプロジェクトレビューの運営
- プロジェクトマネジメントに関する人材教育
- プロジェクト原価のチェック(必要に応じて指摘)
- より良い職場環境の構築に向けたメンバーのフォロー
- ノウハウを活かした営業業務の支援
- Redmaineを利用した情報共有の活性化推進
- 協業パートナーとの関係性維持・向上
そして、事業推進および拡大のため、さまざまな業務サポートを担っているので、困ったことがあればぜひ声をかけて欲しいと、会場全体に訴えました。
画像認識AIについて
ソリューション事業部 N.R 入社3年目 20代 女性エンジニア
N.Rは、参加している関東IBMユーザー研究会で研究している、画像認識AIについて紹介しました。
メンバー内の話し合いの結果、研究テーマは「スキャン画像から文書タイトルを自動判別して、ファイル名として出力するAI-OCRアプリ」に決定。将来的にはタイトルや日時からあいまい検索できるようにすることが目標です。
4つ試したアプローチのうち、特に認識率が高かったのは「Google Cloud Vision API(GCV)」にOCRを組み合わせた方法です。GCVでどこに何の文字があるかを調べ、特定の位置にある文字をタイトルとして評価する場合、認識率は55.17%でした。一方で、文字の認識率だけを確認すると約72%。今後、OCR化部分のチューニングを進めることで、約91%まで認識率を高められると考えています。
ここまでの過程で学んだことは、AIを育てるには良質なテストデータが必要なことだと語るN.R。今後はテストデータをビジネス文書に限定する方針のため、社内にビジネス文書の提供を呼びかけました。
RPAで管理部作業を効率化!?
ソリューション事業部 M.S 入社10年目 30代 男性エンジニア
M.Sは、RPAを活用して管理系作業を効率化した話を発表しました。
当社では毎月末、1カ月の作業工数をExcelの報告書に入力して、ワークフローで申請しています。その後、各社員から集めた報告書を、管理部門で集計するため、1つの大きなExcelに転記しているのです。その数は、115名分のプロジェクトコードが245個。4~5時間かけて作業しています。今回はこの作業をロボットに任せられるような仕組みを考えました。
使用したRPAツールは、当社が今年から開発リソースパートナーに選ばれている「UiPath」です。残念ながらロボット単体での自動化は難しく、Excelのマクロと組み合わせることで自動化に成功しました。Excel上に置いたボタンを順に押すことが必要ですが、RPAによって4~5時間の作業を20分に減らすことができました。
今回の成功を皮切りに、今後は同じような作業の自動化に向けて努力していきたいと意気込みを述べ、発表を締めくくりました。
製造業におけるこれからのビッグデータ・IoT活用
ソリューション事業部 A.N 入社1年目 60代 男性コンサルタント
以前SIer企業に勤めていたというA.Nが発表したのは、製造業のお客様がいま、どのようにビッグデータやIoTの活用を進めているか、というテーマです。
世界の製造系企業の多くがいま、勘と経験と体力に頼った生産プロセスから脱却し、データというエビデンスに基づいた生産プロセスに変革しようとしています。ここで求められているのが、生産管理と連動した製造実行系(MES)システムによるIoT活用です。
生産管理システムとMESシステムが分断されているケースは決して珍しくなく、両者の連携が重要だとA.Nは主張します。そして、具体策として、各種エッジデバイスから取得したデータによって情報の可視化・分析・予測し、対策や改善に活かす仕組みを紹介しました。
生産管理システムとMESシステムをIoTで連携させることで、時間や空間の制約やノウハウの属人化がなくなるなど、さまざまな価値が生まれます。最後に、IoT活用で価値を生み出しているA社の事例を紹介し、発表を終えました。
総評
事業部長 森原 達夫
今回の技術発表会は、四半期会議とセット開催のためショートバージョンでしたが、多くの社員が参加してくれたことを、うれしく思います。
発表者のみなさんが独自に勉強したり、仕事の中から発見したりしたことを共有してくれたおかげで、会社としての財産を増やすことができました。ここでの発表内容は、お客様の業務効率化や利益向上に向けた提案につながるかもしれません。会社としては、こうした取り組みを、引き続き後押ししていきたいと考えています。
これからも一緒に盛り上げていきましょう。
技術発表会を終えた社員の声
納得のいく資料を作ることができず、少し後悔しています。次の発表までには、しっかりとデモ用のシステムを作りたいと思います。特殊な環境でのプレゼンテーションは面白かったので、次回も出させていただきたいと思います。
ソリューション事業部 H.K 入社2年目
40代 男性エンジニア
RPAの発表は、聴講者全員がイメージできる業務を題材に挙げていて、とてもわかりやすかったです。また、今回の技術発表会を通じて、Webサイトの記事などを見て「理解した気」になるより、簡単なアプリでもいいので「作ってみる」と、「見えてくるモノ」が違うということを再認識しました。
ソリューション事業部 K.A 入社7年目
20代 男性エンジニア
私は緊張してしまい拙い発表になりましたが、内容としては比較的わかりやすく報告できたと思います。他の人の発表を聞けたことは、RPAや2段階認証など、実業務以外の技術に目を向ける良い機会となりました。特に、XXの作業が楽になる! という報告が多く、とても興味が湧きました。実際に使ってみたいです。
ソリューション事業部 N.R 入社3年目
20代 女性エンジニア
外出の都合で他の人の発表を聞くことができなかったのは残念でした。ただ、普段お客様先に常駐している社員と初めて会話することができ、交流の良い機会になりました。少しの時間でも、知らない社員の方とふれあえたことが収穫です。今後も機会をみつけて積極的に交流を持ちたいと思いました。
ソリューション事業部 A.N 入社1年目
60代 男性コンサルタント
関連ケーススタディ・ソリューション
今回の技術発表会と関連するサービス・ソリューションをご紹介します。